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【映画レビュー】僕は大変賢いので『ペンギン・ハイウェイ』を拝観してきたのです

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ペンギン・ハイウェイ森見登美彦原作、石田祐康監督、スタジオコロリド制作で送る、2018年この夏のアニメーション映画のひとつ、それが今回観賞してきた『ペンギン・ハイウェイ』です。
主人公で小学4年生のアオヤマ君は自他共に認める大変賢い少年。
いつもノートに問題や疑問を書き込んで考察にふけるかなり大人びた印象をうけます。
そんな研究好きなアオヤマ君が住む町に突如現れたペンギン達の謎に挑んでゆくまるで自由研究のような内容で小学生でも楽しめる”ジュブナイルSFアニメ”に仕上がっています。

『ペンギン・ハイウェイ』に登場するSF的謎の数々

さて、SF要素に謎解き要素が満載の『ペンギン・ハイウェイ』。
今回はアオヤマ君の前に現れる謎の数々を見所を少し含めてご紹介して行きたいと思います。

ペンギン

ペンギン・ハイウェイ

ペンギン

アオヤマ君の住む町に突如現れ、研究の対象となります。
種類は「アデリーペンギン」だろう、”ペンギン・ハイウェイ”を形成して『森』を目指しているようだと判明。
なぜペンギン達が現れたのか、なぜペンギンなのか、ペンギンである必要性はあるのか、本当にペンギンなのかアオヤマ君が探求する過程でペンギンは不特定の物質をおねえさんが条件を満たすことで意図的に変身させることができる事を突き止めます。

 

海と呼ばれる球体

ペンギン・ハイウェイ

『海』と観察するアオヤマ君たち

クラスメートの大変賢い(アオヤマ君曰く、自分よりも賢い)女の子 ハマモトさんが『森』の中で見つけた巨大な水のような球体。
ペンギンとおねえさんの関係性の研究を進める途上、アオヤマ君はハマモトさんと友達のウチダ君と共に観察する事になるのでした。
近づいたものを吸い寄せて消してしまう危険な側面も持ちます。
その正体は現次元に現れた綻び(ブラックホール)の様な存在。
アオヤマ君はこれを「世界の果て」と称し、この世界をやがて飲み込んでしまう危険なものと考察します。

おねえさん

ペンギン・ハイウェイ

おねえさん

小学4年生のアオヤマ君が通う歯科医院で働く歯科助手のおねえさん。
仕事の後アオヤマ君と食事を交えながら会話を楽しむような間柄。
おねえさんは大変胸が大きく、とてもスタイルが良くて何よりアオヤマ好みの顔立ちをしています。

おねえさんは”海”を探しているようで、さらにおねえさんがペンギンを求めるとペンギン達は現れるようです。

アオヤマ君

ペンギン・ハイウェイ

アオヤマ君

大変賢く研究好きな小学4年生。
アオヤマ君の前には大小様々な謎が現れてアオヤマくんの好奇心をくすぐります。
謎がアオヤマ君の好奇心を射止める度、研究ノートの数が増えて行きます。
まるでアオヤマ君が謎を求める度に謎が生まれてくるかのように、アオヤマ君の好奇心と探究心は止みません。

 

ペンギンは世界に綻びができた時にそれを修復する役割を持った”修復材”の様な存在、おねえさんはそれを操ることができる恐らくこの世界自体がもたらした”修復者”の様な存在のようです。
しかし、おねえさん自体に自身の存在に対する自覚がないようでペンギンを生み出す自分の謎を解き明かす様にアオヤマ君に依頼するのでした。

ジュブナイル作品だからこそ描ける小学生男子のフェティシズム

この映画を極端に言い表すと、「思春期の芽生えと、小学生男子のフェティシズム」。
大変頭の賢い小学4年生の少年が「おねえさんの大きなおっぱいはなぜあんなに目が離せないのだろうか?」
と言うことをわざわざ専用の研究ノートを作ってまで解明しようと探求するちょっとだけ恥ずかしい”理系男子の性の目覚め”を感じます。
まぁだからといって忘れてはいけないこれはジュブナイルSFであるということ。
オタクが好みそうな水着の様なセクシーな描写は一切ありませんが、アオヤマ君は日常に起こる様々な疑問や問題と同じように、堂々とおねえさんのおっぱいを通して性の目覚めに対する疑問に向き合っていくのです。

そのような表現がありつつも「スタジオコロリド」の安定感抜群で質感の伝わる様な抑揚のある作画も相まって、程よく清潔感が漂う”実に子供と見てもちょうどいい”塩梅のフェティシズムな作画や映像の描写が好感触でした。

今回偶然にも友人の長男(小学4年生)といっしょに観賞する機会を得て主人公と同世代の男子がこの作品にどの様な印象を感じるのか観察する機会を得たのですが、やはり当然その年頃の男子にとっておっぱいは恥ずかしいものの様で、そのシーンでは複雑な笑顔をしていました。
それでも子供が喜びそうなギャグシーンでは純粋に笑い声が上がったり、ペンギンの群れが駆け回る疾走感満載のシーンでは画面に見入っていたりとしっかりとジュブナイル作品として成功している実感を目の当たりにできました。

アニメーション映画作品としてこだわる人にも納得の出来

序盤から謎解きと実験が続き、大人しいアニメとお思いきや終盤に現れるペンギンの群れが駆け回る疾走感と臨場感たっぷりのシーンは、前述した通り子供から大人まで画面に釘付けになること間違いなしです。
もちろん動きの激しい作画が好みな方達のも十分納得いただける仕上がりだと思います。

制作陣は「台風のノルダ」で監督を務めた新井陽次郎氏がキャラクターデザイン、石田祐康監督は短編で監督はこれまでも実績がありますが初の長編監督作品になります。(スタジオコロリド自体としても第1回長編作品)
その点、脚本は「四畳半神話大系」「夜は短し歩けよ乙女」と森見登美彦作品での映像化で実績がある上田誠氏だったので安定の構成です。

メインキャストはアオヤマ君が「北香那」、お姉さんが「蒼井優」と声優ではなく女優さんを使うことでのアニメーション映画独特の生っぽさがあり、脇を固めるのはウチダ君は「釘宮理恵」、ハマモトさんは「潘めぐみ」、アオヤマ君のお父さんは「西島秀俊」、ハマモトさんのお父さんは「竹中直人」とこれまでも様々なアニメ映画で実績のある方々が使われていますのでアニメファンとしても納得の演技力です。

 

大人びているとはいえ、まだ純真な子供であるアオヤマ君がまっすぐな清い目で見つめる邪推のない考察と謎解きと次々に湧いてくる新たな謎に、ペンギン達のアクション満載の作画と時間たっぷりに目が離せない作品となっています。

謎解き要素に、ほんの少しの難解さも相まってアニメ作品の考察欲にも十分応えてくれる感のある『ペンギン・ハイウェイ』。
謎解きと、年上のお姉さんと、SFと、そしておっぱい、どれかでも興味のある要素があったのであれば是非ご鑑賞いただきたい!


© 2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会

画像出典:ペンギン・ハイウェイ

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