やや今更感はありますが、2017年6月に発売されたiPad proを約半年使ってみた印象を踏まえて、まとめてみました。
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iPad Pro(2017モデル)について
筆者がこのiPadを購入する最大の目的は、Apple Pencilによるタブレットお絵かきを自身の創作活動取り入れてみたいという点にありました。
発売当時のiPadシリーズのラインナップの中で、選択肢はApple Pencilが使えるのは「iPad Pro」のみ。(現在の第6世代の「iPad」はApple Pencilが使えます)
決まった場所でしか描けないデスクトップPCや、重たいノートPC+ペンタブに煩わされない、自由なタブレットお絵かきライフを夢見て、やや高い買い物に思い切りました。
実際今はタブレット製品やスタイラスペンにも色々選択肢があるのですが、そんな中でもApple Pencilの性能は非常に魅力的なものでした。
ちなみに購入の際、10.5インチモデルと12.9インチモデルが選べたのですが、小さいサイズの10.5インチを選択。
普段ノートPCを持ち歩くのにうんざりしていたので、荷物が軽いのがとにかく嬉しいです。
まずはハードウェアとしての印象をまとめてみます。
動作はサクサク!
実際、マンガ系の重たいデータを開いたり、画像編集作業をする場合でも、実行速度の印象はすこぶるよく、およそ不満を感じないレベルです。
購入前から、各所でも性能が素晴らしいという記事は見ていたので、タブレットとしての出来が良いことを疑ってはいませんでしたが、筆者にとって重要なのはイラスト制作においてどの程度の実用性があるのかでした。
そして結論としては、全く不満がないです。
どうも一世代前のiPad Proだと、同じイラスト系ソフトでもレイヤー増やすと操作が重くなるとか聞きますが、そういう「もたつき」はほとんど感じられません。
PC版の機能がそのまま実装されているiPad版『CLIP STUDIO PAINT EX』を使っていても、とりあえずA4サイズ300dpiのキャンバスにレイヤー100枚程度ならサクサク動作します。
過去のモデルとの比較性能はわかりませんが、謳われている性能の高さは間違いないんじゃないかと思います。
アクセサリ類について
ちなみに、iPadはなるべくアクティブに持ち歩きたいので、傷や破損防止ためのケース類をどうしようか、色々迷いました。
iPadは裸で持つのが一番!という人もいるでしょうけど、鞄の中とかに入れていても背面とかすぐに傷だらけですからね…。
最初に革製品のカバーを買ったのですが、重量が予想以上に重くて交換。
質感の面ではいい感じだったのですが、せっかく軽くて使い勝手が良いことを目的にタブレットを買ったのに、重くなっちゃうのは本末転倒かなと思い諦めました。
そこで樹脂製の軽そうな背面ケース+表面カバーの製品を購入。
純正のスマートカバーほどピッタリとは行かないけど、
蓋を閉じる時のマグネットでしっかり止まって、自動スリープもしてくれるので便利。
自動スリープは原理良くわからないけど、どうやらセンサーが付いているらしいです。
ところで、10.5インチのサイズ感は持ち歩きにはとても便利なのですが、タブレット生活に慣れてくるとちょっと12.9インチモデルも魅力的に見えてきます。
実際比較して触り比べてみると、少し広い画面の12.9インチもなかなかに快適で、もし次のモデルを買うならその時は大きいサイズを選んでしまうかもしれません。
Apple Pencilについて
Apple Pencilはいわゆるスタイラスペンとしてはかなり高価な部類です。
なんと本体価格は10,800円。
結構な出費なのですが……。
しかしこのApple PencilとiPad Proの性能は、それまでのスタイラスペンはもちろん、それこそデジタル系絵描きさん御用達のワコム製液晶タブレットなどと比較しても、一歩上を行くクオリティだと思います。
外見的特徴は、非常にシンプルなデザインです。
これは鉛筆に近いサイズ感で、グリップにラバーパーツを施したワコム製のタブレット用ペンなどとは、大きく印象が異なります。
全体にほぼ鉛筆と変わらない太さ(重さは結構あるけど)で、無駄な凹凸は一切ありません。
ここまで割り切る辺りはいかにもアップルらしいのですが、クリップなどの突起が付いていないので、平らな机の上ではどこまでも転がって行ってしまいそうで、ちょっと不安です。
そんな不安な人にはサードパーティーのアクセサリがたくさん出ていますので、好みに合わせてカスタマイズするのが良いと思います。
使ってみた感触は非常に良く、特にすごいのはペンに対して画面上に表示される線画の追従性。
タッチしたポイントと画面の表示位置の距離が近いだけでなく、追従する機能についてはかなりのこだわりで作りこんでいるようです。
最初に触った時、いわゆる液晶タブレットにありがちな「ズレ」た感じがないことがまず驚きで、普段液タブなどに触れない人だと、自然に線が描けることが逆に普通すぎるように思えてしまうかもしれません。
この違和感なく普通の感覚で描けるということが何より性能の高さの証だと思います。
追従する反応速度や、ペンを傾けた時の鉛筆の腹で広く線を描いているようなリアクションなど、細かい性能面でかなり意識高い作りになっており、実に嬉しい限り。
とりあえず試しにメモ帳ツールで定番のリンゴを描いてみました。
また、バッテリーの稼働時間(12時間)、充電時間(約15分でフル充電)、ともに使っていて全くストレスを感じないレベルです。
もし急ぎで使いたい時は、15秒充電でも30分程度は使えるというからとってもありがたいです。
いざという時のバッテリ切れも怖くないですね。
ただ、ライトニング端子の仕様については大きな疑問が……。
Apple Pencilの後ろの部分には充電用のライトニング端子がついてるのですが、この形状だと普通のライトニングケーブルに指すことが出来ないんですよね……。
他のiPadやiPhone同様、充電ケーブルを挿せるが一番便利だと思うのですが、何故かこのApple Pencilに付属の小さなコネクタを指して使うか、iPad本体へ直接挿すという荒業で充電をする羽目になります。
付属コネクタは本当になくしやすそうなサイズで困りますし、ipad直挿しの充電状態でうっかり何かぶつけたりしたら、端子が折れそうですごく怖いです……。
これは本当に正しいデザインだったのか……。
このあたりのフォローにも、サードパーティーからたくさんのアクセサリが用意されています。
こういう部分も、ある意味アップル製品の楽しいところなのかもしれません。
iPad Pro 10.5インチ、iPad Pro 12.9インチどちらが良い?
超おすすめのiPad Proですが、画面サイズの違いはやや悩ましいところではあります。
値段的には少し違いがありますが、同スペックなら1.5万円ほどしか違わないので、選択の決定打に欠けるのではないでしょうか。
それぞれの重量を比較してみると……
10.5インチは469 g
12.9インチは677g
12.9インチはやはりデカイ。重いのであまり常に持ち歩くには向かないんじゃないかと、正直思います。
特に片手で持ったまま操作し続けるのは不可能じゃないけどかなりきついです。
機動性は10.5インチのほうが断然いい。
一方でお絵かきなど広い画面が欲しい人にとっては12.9インチがいい。
液晶ペンタブレットとして考えると、単純に大きな画面で絵が描けるというのは、それだけで大きなアドバンテージです。
これだけ高性能な画材であれば、絵描きさんとしてはこのサイズも苦にならないのではと思います。
また、普段A4の書類を持ち運び慣れている人には、このサイズは自然に感じられるかと思います。
あと、これは感覚の問題ですが……。
12.9インチは縦持ちだと重量的にバランスが悪いので、横持ちが安定する。
10.5インチは軽い分縦持ちがしやすい。逆に横持ちだとなんかバランス悪い?
ようにも感じます。
持ちやすさに関しては、ケースのサイズやグリップの位置などにもよるかもしれませんが、もし迷ったら参考にしてみてください。
PCはもう不要なのか……?
さて、性能面では問題のないiPad Pro。
しかしお仕事など実用面を考えたとき、ノートPCはもういらないのでしょうか?
仕事で必要なのは、単に情報の閲覧やデータ作成だけではなく、そのデータを共有するという部分が重要です。
今はメールは言うに及ばず、チャットツールなどもiOS版のリリースは当たり前になっており、各方面かなり環境は整ってきています。
データやり取りもGoogleDriveなどのクラウド環境が充実してきて、業務レベルでも対応ができるようになってきていると思います。
ただいずれにしても、iPadをノートPCに置き換えて普段使いするには、アプリ側でかなりの工夫が必要です。
アプリを使って制作したデータをスマートにクラウドで共有できるのか、アプリごとにも使い勝手の確認が必要なこともあります。
この際、チーム内ですべてGoogleDriveでしか書類を作らないようにするなど、仕事のやり方を割り切ってしまったほうが、案外いいのかもしれません。
ただクライアントワークなどの場合、送られてくるデータ次第では未だにPCも必要ではありますね。
iPadのUIについては唯一不満
iPadのUI構成には不満があって、iPhoneと同じいわゆるiOS共通の配置なのですが、12.9インチの画面でみるとアイコンの間のスペースが広すぎます。
iPhoneほどまでぎちぎちに詰めなくてもいいのですが、実際iPhoneの6倍もあるし空きスペースに倍くらいは入るはず。
そうすれば、あまりアプリを細かくフォルダ分けしなくて済むと思うんだけど……。
ぜひ、タブレット端末のサイズに合った設計を検討いただきたいところです。
せめて自分で調整できれば良いのでしょうけど、今までのAppleの方針を見ると、あまりそういうのは期待できないかもですね。