生活をより楽しくする エンタメニュースや話題を扱います!

エンタメズネット

レビュー アニメ 映画

【レビュー】劇場アニメ『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五エ門』を観賞!【小池健】

投稿日:2017年3月4日 更新日:

2012年にテレビアニメ『LUPIN the Third -峰不二子という女-』を放映を始めに、2014年には『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』とルパン三世シリーズの名脇役たちを主人公に新たな”大人向け”な世界観を繰り広げる監督である小池健による今回公開された『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五エ門』をじっくりと堪能して参りました。

小池健監督による新たなルパン三世の世界

これまでのルパン三世シリーズといえばコミカルで大衆向けの”痛み”を極力ユーザーに感じさせないアクション活劇と言う印象であると思います。
特に数年に1回放送される日本テレビの金曜ロードショーにおけるテレビスペシャルのルパン三世はその印象がとても強いです。

しかし、一連の小池健監督によるLUPIN THE IIIRDはともかく見ていて痛い。
それは死を予感させる痛みで、アニメーションでありながら「おいおい大丈夫か?」と真剣に心配してしまう迫真の演出がオンパレードで登場します。

例えば前作 次元大介の墓標では銃撃による一撃必殺の死の奪い合い。
今作 血煙の石川五エ門では剣撃による接近戦による命の削り合いと、全く印象の違う命のやり取りが繰り広げられます。

ただそれらの死の予感を強く演出する方法は、キャラクターたちのギリギリの崖っぷちでも生き残ろうとする”生命力”をユーザーに強く印象付けることに一役かっているのではないかとも考えます。

そしてアニメーター小池健としてのまるでアメリカンコミックを思わせる影に強い黒を描く独特の表現が、血なま臭いその世界観により重厚感を与え独自のダークでゴシックなLUPIN THE IIIRDワールドを確かな物へと強化させています。

描かれるのは石川五エ門の挫折と開眼

今作は単刀直入にいわゆるヤクザ映画です。
現代において”サムライ”であろうとする石川五エ門(以下、五エ門)が住める世界は自然にそういったものになってしまう訳で、今回の五エ門はヤクザの用心棒と言う侠客として存在します。

五エ門はこれまで皆さんが目にして来た姿とは少し違い、綺麗な純白の羽織とあつらえの鍔の有る刀を下げて雇い主である組長の近くに最後の砦の様に静かに座しています。
その落ち着いた印象とは裏腹にその内面には自らの実力に絶対の自信を持つ”驕り”を孕んでいるのです。
それは汚れる事を許されない綺麗な純白の羽織と、受け太刀を許してしまう鍔によって象徴されている様に思えます。
そして突如現れる刺客の前に敗北し、挫折の果てに自らを見つめ直しやがて開眼を得る事となります。

恐怖しない刺客ホーク

元軍人で2000人殺しの伝説を持つ巨体のホークは何者かの指令によって五エ門の雇い主とルパン三世の命をつけ狙いう訳ですが、このホークの行動が見たままに大雑把で何とも常人離れしています。
巨大なタンカーサイズの船のエンジンを愛用の分厚い手斧2丁で叩き潰したり、移動方法は専らバイクだが無くなれば力ずくで奪ったり、殺人対象の前には忍び寄るのではなく派手にバイクで突っ込んだり、崖沿いのカーブをパンクしたバイクでは曲がりきれないと判断すれば身を投げ出して断崖に飛び込んだり、五エ門の刀をいとも簡単そうに指で摘んで止めたりと”痛み”に関する恐怖が完全に欠落した殺人マシーンとして描かれています。

圧倒的な迫力のホークと五エ門による二度に渡る決闘もまさに「肉を切らせて骨を断つ」紙一重の殺し合いで今作品一番の見所です。ぜひ刮目して頂きたい!
また、前作 次元大介の墓標におけるヤエル奥崎による分厚いステーキを頬張るシーン同様に、今作でもホークによるスペアリブをむさぼり食う 敵役による飯テロならぬ肉テロもまた見所です。

今回の不二子ちゃんはストレートのショートボブ

重厚感あふれるダークでゴシックな今作品唯一の華である峰不二子はこれまでのフレアなロングヘアーとは印象を変え、ストレートなショートボブと行ったヘアスタイルで登場します。
恐らくはウィッグなのだろうとは思うものの、印象の違うヘアースタイルに露出の多いタイトなドレスとセクシーを前面に押し出した、まさに大人に向けた不二子ちゃんはとても良いですね。
ただ、開眼を目指し修行する五エ門に男のバカらしさを見出して途中退場してしまうのは少し寂しかったりします。

 

今作も前作同様に30分作品を前後編に構成しての約一時間の公開時間となっています。
だからと言って短くはなく、濃縮還元した様な濃厚な一時間でした。

かっこいいアクションから、リアリティを残しつつデュフォルメしたキャラクターの描き分け方などまさに小池健ワールド満載です。
さて、これまで短編として次元大介と石川五エ門の物語が描かれた事になりますが、今後のLUPIN THE IIIRDシリーズがどのキャラクターを主人公に展開されるのかも気になる所です。
次はテレビシリーズとは別に峰不二子か、はたまた銭形警部か、ルパン三世で締めくくるのか。
さぁ皆さんもぜひぜひ期待して『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五エ門』をご覧くださいませ!


やっぱり斬鉄剣かっこいい〜
高層ビルも斬ってしまうだけあるわ
でもコンニャクは斬れないのよ
うそだ〜
ニヤリ
…う、うそだ〜
ちなみに斬った人の命日にも斬れなくなるぞ
うわ〜ん割と残念な武器〜

-レビュー, アニメ, 映画 -,

Copyright© エンタメズネット , 2024 All Rights Reserved.