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【レビュー】映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」から学ぶ世の渡り方

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「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」は、第二次大戦時の英国の首相をテーマとした2017年の映画ですがこちらをレビューしていきたいと思います。原題はDarkest Hourで邦題とは少し雰囲気が違いますね。

あの悪徳捜査官を演じたゲイリーオールドマンが名首相「チャーチル」を演じる!

チャーチルを演じているのは、ゲイリーオールドマン。
ハリーポッターシリーズのシリウス・ブラックを演じていた俳優さんですが、個人的にはリュック・ベッソン監督の「レオン」で演じた悪徳麻薬捜査官 ノーマン・スタンスフィールドがエキセントリックな演技が印象的でしたね。

というわけで、過去の映画で演じた役柄とは少し違った印象で、ゲイリー・オールドマンがチャーチルを演じてるの?という驚きも、この映画を見るきっかけになりました。

そういった事もあってか、オールドマンからのオファーで、日本出身のメイクアップアーティスト「辻一弘」氏が特殊メイクを担当しているのも見逃せない点です。辻一弘氏の活躍もあり、この映画では、メイクアップ&ヘアスタイリング賞も受賞しているのです。この他にも、作品賞、美術賞、撮影賞、衣装デザイン賞でもノミネートされています。

オールドマンは、この「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」でアカデミー賞 主演男優賞を受賞しています。

戦闘は、ほぼ描かれない

まずは、最初に迫力ある戦闘シーンなどを期待している人には残念でしょうが、この映画にはほとんど戦闘シーンは出てきません。予告編を見ると多少の戦闘シーンは有るようにも見えますが、この映画ではフランスやダンケルクでの戦闘シーンは、ほとんど描かれず、やや抽象的な表現とテロップなどで戦闘の経緯だけが伝えられます。ロンドン市民が戦闘に巻き込まれる描写は有りません。

予告編に出てくる戦闘シーン以外はほぼ全ての非戦闘シーンと思った方が良いです。

このため、派手な戦闘シーンを期待して、この映画を見ると見事に裏切られる事になりますが、中途半端に戦闘シーンを入れるよりは割り切った演出でチャーチルのドラマ部分が強調されて好感が持てます。この方針は劇中で徹底されていて、終始ドイツ兵が登場することは無く、ヒトラーも冒頭のモノクロ映像と、ラジオから流れる演説のみでの登場となっています。

一方で、首相官邸地下の地下壕の描写は作り込まれている印象です。地下に作られた施設なので、一つ一つの部屋のサイズも小さく、迷路のように狭い通路など、差し迫ったイギリス本土決戦を予感させるセットとして効果的です。地下通路の中を行き来する人々の姿も活気にあふれていて、何だか自分も地下壕にいるような追体験が出来ます。

チャーチルの秘書レイトンを案内する形で地下壕の説明が有りますが、首相専用トイレには大きな秘密が隠されている事が後で明かされます。

映画を通して増えてゆく応援者達が心強い!

チャーチルのイメージと言えば、しかめっ面で気難しく、強いリーダーシップを発揮し、絶体絶命のピンチから英国を救った不屈の首相といったところでしょうか?

この映画で描かれるチャーチルも気難しい老政治家ではありますが、フランスでの捗々しくない戦況や、イギリス議会の情勢からドイツとの和平を模索する閣僚を入閣させなければならないなど、一枚岩では無い初期のチャーチル内閣が描かれています。

映画の最初の段階ではチャーチル自身にも問題が多く、不和の原因の多くにはチャーチルの性格や言行にも影響されています。

この気難しいチャーチルを2人の女性が支える事になります。一人はチャーチルの妻 クレメンティーンです。

クレメンティーンは、若い頃からチャーチルを支えてきた人物なので、映画が始まった段階からチャーチルの事を知り尽くしている人物として描かれています。夫チャーチルとの際どいやり取りから上手く切り返すウイットに富んだ会話は、暗くなりがちな映画の雰囲気を和らげています。

もう一人は新人タイピストとして登場するレイトンです。

映画のチャーチルは、ブツブツと聞き取りにくいのに、一度で聞き取れないと咎め、行間は1行開けて広く、タイピングは静かにと要求ばかりが多く、しかも、激情的なので、レイトンの前任者とも一悶着有ったんだろうなと思わせる演出となっています。

典型的な駄目社長や会長といった雰囲気ですが、そんな事もあってレイトンはタイピストを早々と辞めてしまいそうになります。

ところが、屋敷を出たところで配達された電報を偶然受け取った事から、チャーチルの秘書を続ける事になってしまいます。電報はバッキンガム宮殿からのもので、首相への就任を思わせる物でした。

こうして、レイトンは、一躍イギリス首相の秘書としてチャーチルを補佐することになります。

最も追い詰められた状態では、口述筆記すら難しい状態まで追い詰められるチャーチルですが、ここでは、遥かに年若いレイトンの励ましによってチャーチルは危機を乗り越えていきます。

国王ジョージ6世や、周囲の人物との関係にも注目

初めはギクシャクした関係として描かれている国王ジョージ6世との関係も、逼迫した状況の中で改善されていきます。ジョージ6世とチャーチルのやり取りは特に魅力的で、現代に生きる我々にとっても示唆に富むものです。ジョージ6世は、気難しくて次に何を言い出すか分からないチャーチルの態度を改めるようにアドバイスするのです。

そんな国王とのやり取りの中からチャーチルはピンチから脱出するヒントを得るのですが、ちょっと意外な展開が興味深く、こちらも映画にアクセントを与えてくれます。

ちなみに、ジョージ6世は「英国王のスピーチ」で演説が上手く出来ない国王として登場しています。英国王のスピーチは第83回アカデミー賞では作品賞など4部門を受賞した映画ですので、こちらも合わせてお勧めです。

さらに、アメリカ大統領 フランクリン・ルーズベルトも電話(ホットライン)のみで登場します。登場するシーンは短く、音声のみでの登場がイギリスとアメリカとの物理的距離感を象徴しているようです。

ルーズベルトは一見素っ気なく対応しているようにも聞こえますが、アメリカの国内法で縛られ満足にイギリスを支援出来ない中で、どうすればイギリスを支援出来るのか色々と考えてくれているように見えます。

日本ではチャーチルと周囲の人々の関係について語られる事は少ないですが、気難しいチャーチルを支える妻クレメンティーンなど家族からの支援や、女性タイピストのレイトンとのやり取りなど、老境に有ってなお人間的成長を見せるチャーチルの人物像など、ゲイリー・オールドマンが主演男優賞を獲得したのには納得が行きます。

また、議会での影響力が強い前首相ネヴィル・チェンバレンや、講和派ハリファックス子爵などは、チャーチルの政敵として描かれてはいますが、誰もが自分の信じる最善の方法を進めようとする姿が描かれ、今でこそ結果は分かりますが、先の見通せない状況でのせめぎあい描写も印象的でした。

チャーチルと市民との距離感の描かれ方も面白い

上流階級出身のチャーチルは、アイロンがかけられたパリっとした新聞を読み、当初はバスには乗ったことが無く、地下鉄にも一度しか乗ったことが無いと豪語しています。

このため、市民の生活はロンドン市内を走る車の中からチャーチルが目にするという演出になっています。映画はバトル・オブ・ブリテン(イギリス本土防空戦)の前を描いているので、市民の中には制服を着た補助部隊の女性も写っていますが、戦闘中のフランスやベルギーとは違い、まだまだ通常の市民生活が続いています。

チャーチルの目線は面白い演出で、フランス首相ポール・レイノーとの会談におもむく際に飛行機から大勢の避難民を飛行機から目にしたり、首相官邸の屋上からロンドン上空を飛ぶ戦闘機を見るなど、戦場とは距離の有るロンドンにもチャーチルの目を通して徐々に戦争の影が近づいてくるのです。

最初はその距離感にチャーチルは何も違和感を感じていないようですが、庶民の生活からかけ離れた生活を送っているチャーチルと、市民が対話するシーンがこの映画の見せ場として描かれています。

チャーチルが言葉を選ぶ感じや、タイプライターの描写が魅力的

この映画では、タイピスト レイトンがチャーチルの言葉を口述筆記するシーンが度々でてきます。「ヒトラー 〜最期の12日間〜 」など、この手の歴史物の映画ではタイピストがキーマンとして登場する事がよくありますが、この映画ではタイプライターを扱うシーンの描写も綿密で好感が持てます。

特にチャーチルの就任演説シーンでは、原稿作成中のシーンが挿入されていますが、タイプライターの描写が効果的に演出されています。タイプライターそのものが、中二心を揺さぶる感じのアイテムでは有るのですが、チャーチルが言葉を選んで、レイトンが形にしていく過程が魅力的に描かれていて好きなシーンの一つです。

もともと、日本ではタイプライターの普及率が低かった上に、PCが普及してしまって時間が経つので、私もタイプライターを使用したことがありません。ところが、この映画ではタイプライターの描写が上手なのも有って、何だか自分もタイプライターを使っていたような、懐かしい気分になります。

タイプライターを使う生活やお約束が自然と描かれていて違和感が少ない事も、その理由ではないかと思います。

また、チャーチルがギリギリまで原稿を推敲している姿も描かれますが、やや変化の少ないこの映画のなかで、ギリギリまで作業する演出は緊迫感を生む演出になっているように思います。

まとめ

「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」は、日々の暮らしの中で、何だか上手くいかないなと思う事が多い人には是非見て欲しいなと思う映画です。

あの偉大なチャーチルでさえ悩み、周囲からの助言を受け、徐々に支援者を増やしてゆく。相容れない政策の人々を説得し、老いてなお成長するチャーチルの姿に、勇気づけられる映画ですね。

至極当たり前の事を当たり前にやっているとも言えますが、我が身を振り返れば中々出来ていない事も多く、気づけば周囲は敵だらけなんて事にならないように皆さんもお気をつけて!

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