大阪は多くの川が流れている事もあって、非常に橋が多い町として知られています。八百八橋なんて言われる事も有りますが、昔は橋が無い場所も多く有ったようで、そういった場所では渡し船が活躍していたようです。現在では8航路に減少していますが、それでも一自治体が持つ航路の数としては最多を誇っています。今回はそれらを巡って行こうという企画です。
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公営渡船8航路は、大阪が全国最多!
そんな大阪の渡し船ですが、一日で8航路全部回れるという噂を聞いてしまったのだから、もうこれはやるしかありません…。しかも全ての渡船が無料で利用出来る太っ腹ぶり。
今回巡る渡船場は以下の8箇所です。
- 落合上渡船場
木津川最上流の渡船。大正区と西成区を結んでいます。国道43号線の少し下流側です。 - 落合下渡船場
落合上渡船場の少し下流にある渡船場。大正区と西成区を結んでいます。 - 千本松渡船場
木津川 千本松大橋と併設された渡船場。 - 木津川渡船場
木津川の渡船場の中では一番河口に近い側の渡船場。川幅が広い。 - 船町渡船場
木津川運河に設けられた渡船場。かなり川幅が狭い渡船場。 - 千歳渡船場
千歳橋と併設された渡船場。天保山渡船場と合わせて距離も長く景色の良い渡船場。 - 甚平渡船場
尻無川に設けられた渡船場。大正区と港区を結ぶ。距離は短いが利用者の多い渡船場。 - 天保山渡船場
天保山とUSJ近くを結ぶ渡船場。
今回は、この8箇所を一筆書きで回る事にしました。渡船と渡船の間は、歩いたり、バスが有る場合は利用したりしています。
バスなど利用する場合は、大阪地下鉄・大阪シティーバス 一日乗車券 エンジョイカードを用意しておくと乗り降りもスムーズで便利です。800円(土日祝は600円)なので210円のバスに4回乗ると元が取れる計算ですね。行き帰りに地下鉄を使うのも手でしょう。バスでも買える場合がありますが数が限られるとのことで大阪地下鉄駅構内で買っておくことをオススメします。
あと自転車と一緒に乗船出来るので、自転車で回るのも良さそうです。ちなみに、バイクを乗せられません。
今回は、朝10時にスタートして、歩いたりバスに乗ったりしながら、17時過ぎまでかかったので、全部の航路に乗船すると一日がかりになってしまいます。バスを併用しても割と歩く距離は長くなるので、歩きやすい靴を用意するのはもちろん、あまり暑い日は避けたほうが良いかもしれません。
また、河口や運河周辺の工業地帯を歩くことになりますので、大型のトラックなども走り回っています。くれぐれも交通事故など十分注意して渡船めぐりをしていただきたいです。
木津川駅よりスタート!
今回スタート地点に選んだのは落合上渡船場としましたので、最初は落合上渡船場に一番近い木津川駅から歩いて向かいます。
阪神高速と国道43号線の高架下をくぐり、南の方角へ。すると「落合上ノ渡」という交差点が見えるのでさらにその先に木津川のほうに進むと乗り場入り口が見えてきます。
落合上(おちあいかみ)渡船場
落合上渡船場は阪神高速と国道43号線の少し下流にある渡船場で、木津川水門を遠望出来ます。今回は西成区から大正区の側へ渡船を利用しました。
木津川に4つある渡船場の中でも最も上流に設置された渡船場なので、距離もかなり短い渡船場です。あっという間に到着する感じが、いかにも渡船といった雰囲気とも言えます。
落合上渡船場~落合下渡船場まで
次の落合下渡船場は落合上渡船場の少し下流にある渡船場。落合上渡船場からはバスも有りますが、距離も近く丁度よい時間のバスが無かったので歩く事にしました。小林公園を少し過ぎた辺りで、落合下渡船場の看板をみつけました。真っすぐ行けば落合下渡船場です。
落合下(おちあいしも)渡船場
落合上渡船場に雰囲気は近いですが、落合上渡船場よりも少し広めの川幅になっています。
とはいえ落合下渡船場は落合上渡船場と同じく幅が狭く、出発するとあっという間に対岸に到着します。今度は大正区から西成区の側へ乗船しました。
落合下渡船場~千本松渡船場まで
落合下渡船場からは、少し歩いて新なにわ筋まで出て、津守神社前から南津守まで大阪シティバス29系統に乗りました。南津守のバス停からは、また少し歩くことに。
河口に近く工業地帯の真っ只中といった場所に有るので、トラックなどの数も多いので渡船場周囲の交通などには注意して下さい。
ループ状になっている千本松大橋に着いたら左脇に千本松渡船場の入り口があります。
千本松(せんぼんまつ)渡船場
この辺りから木津川の川幅が急に広くなり、渡船としても乗った感が強くなってきます。頭上にはループのある大きな千本松大橋がそびえているのに圧倒されます。
橋が有るのに渡船が存続しているのに少し違和感を感じますが、物凄く高い橋を見ると、そこまで歩いて上がるの?という疑問も湧いてくるので、橋が有っても渡船が存続するパターンが直ぐに理解できました。
千本松渡船場~木津川渡船場まで
千本松渡船場からは、千本松橋西詰から北加賀屋へバスで移動。ここでバスを乗り換えます。10時に出発して、概ね昼時だったので、昼食をここで済ませました。
北加賀屋からは、もう一度バスに乗って柴谷橋西詰で下車。Panasonicの工場の向かい側に到着しました。渡船場はこのPanasonicの工場の裏の方になるので、バス停からは歩いていきます。渡船場は、やや分かりにくい場所にあるのと、反対側に歩いてしまうと大変なので、スマホなどで位置やルートを確認しておくと良いでしょう。
木津川(きづがわ)渡船場
木津川渡船場は、木津川に設けられた渡船場の中でも一番河口に近いのもあって、川幅も広く、併設された新木津川大橋にも圧倒されます。橋下からはあべのハルカスも見えます。
待合所も今までの渡船場と比べると随分大きくしっかりしていました。
川の両岸は工業地帯で、付近にはクロネコの大きな物流センターが有ったり、鉄塔が乱立していたり、これはこれで渡船らしい景色なのかなとも思います。工場萌え、人工物萌えの方はこのあたり必見ですよ。
木津川渡船場を渡ると、戦前の一時期、民間の木津川飛行場が有った場所に出ます。記念碑が設置されていますが、今は完全に工業地帯になっていて飛行場の面影は有りません。工場の間の道を歩いて船町渡船場へと向かいます。やや、この辺りから疲れて来ますが、この区間は上手くバスを利用できないので歩くことにしました。この辺りは工場に詳しい人と歩くと面白そうですね。
船町(ふなまち)渡船場
船町渡船場は、木津川運河に設けられた渡船場ですが、今回の渡船場巡りの中でも川幅が狭くすぐ向かい側に対岸の発着場が見えます。巧みな操船で狭い運河にも関わらず運営されています。狭いとは言え泳いで渡るわけにも行かないので、こういった渡船も意外と面白いものだなと感じました。
船町渡船場~千歳渡船場まで
船町渡船場を出ると、急に住宅地に出て景色が一変します。少し歩くと大正通りに出るので、鶴町一丁目から、鶴町四丁目までバスを利用しました。
大正通りはバスの本数も多く次々とバスが来るので、船町渡船場と千歳渡船場間は非常にスムーズに移動出来るでしょう。大正通りには難波駅や大正駅からもバスが出ているので、千歳渡船場から渡船めぐりを始めるのもお勧めです。ここからなら、半日でも十分回れるのではないかと思います。
千歳(ちとせ)渡船場
千歳渡船場も千歳橋が併設されていて、橋へ登るための階段も設けられていますが、物凄い高さで、どう見てもチョットした罰ゲームのようです。体力のある人は試しに橋を渡るのと渡船とどちらが良いのか試してみるのも良いかもしれません。
非対称で青く塗られた千歳橋は美しく、行き交う船と合わせてロケーションに優れたお勧めの渡船場です。対岸にテニス場や公園があるので、今回の渡船場巡りで唯一景色に緑の要素が入った渡船場だった気がします。今回の渡船場巡りの中では天保山渡船場と合わせて、お気に入りの渡船場です。
千歳渡船場~甚兵衛渡船場まで
千歳渡船場から甚平渡船場までは、やや中途半端な距離です。バスだと停留所一つしかないので、体力と気分で歩くかどうか決めると良いでしょう。バス停の間ぐらいに渡船場が有るので、2区間乗って引き返しても距離的には同じぐらいのようです。
甚兵衛(じんべえ)渡船場
甚平渡船場は尻無川に設けられた渡船場で、距離の短い渡船場です。両岸が住宅地なのもあって利用者も多く、時間帯にもよるのかもしれませんが、渡船場に到着したときには既に自転車を持った乗船客が待っている状態でした。付近に高校があるので、学生さんの利用も多く、今回乗った渡船の中では最も生活感のある渡船場でした。
昔は、こういった渡船場の風景は珍しく無かったのかもしれませんが、そういった雰囲気を感じるにはもってこいの渡船場です。
甚兵衛渡船場~天保山渡船場まで
甚平渡船場と、天保山渡船場はかなり距離が離れているので、何とかバスを利用したい区間です。51系統のバスが甚平渡船場のすぐ近くを通っているのですが、本数が少ないのが難点です。場合によっては、みなと通りまで出てしまった方が良いかもしれません。ちなみに、今回はだいぶ疲れていたので、待ち時間が少し長かったのですが福崎一丁目でバスを待って、51系統に乗って天保山へ向かいました。
このバスに乗ってしまえば、天保山周辺で休憩するとか、観覧車から渡船場周辺の様子を眺めるなど、色々選択肢は選べそうですね。天保山渡船場は、日本一低い山とも言われる天保山のすぐ下に有ります。こちらも合わせて、訪れてみると良いかもしれません。
天保山(てんぽうざん)渡船場
締めは天保山渡船場です。実は以前にも天保山の渡船には乗ったことが有り、この渡船が良い事も天保山を最後に残しておいた理由です。
天保山渡船場は距離もそれなりに長く、船も今回乗った渡船の中では最も大きなサイズでした。観覧車や阪神高速の橋などロケーションもよく、千歳渡船場と合わせて是非乗ってみたい渡船です。
天保山渡船場~JR桜島駅
天保山渡船を降りるとUSJの海側に出るので、少し歩くとJR桜島駅に到着します。
これにて今回の旅は終了となりました。
【まとめ】大阪の渡船は自転車と相性良し!
渡船場の場所が鉄道駅のすぐ近くなどには無いのも有って、渡船の利用者の大半が自転車と一緒に渡船に乗り込むようでした。通勤通学など市民の足として想像以上に馴染んでいる印象でした。そのため、渡船の構造も自転車での利用に適した構造になっていて、自転車との組み合わせは相性が良い印象でした。
木津川沿いの渡船は両岸が工業地帯になっているので、そういった景観に興味がある人にもお勧めできるかもしれません。ただ、大正区、西成区の工業地帯の只中に有るので、トラックなどの交通量も多く、安全には十分注意して渡船めぐりを行って欲しいと思います。
これと比べると、木津川渡船場、千歳渡船場、天保山渡船場は、広い川幅と大きな橋のそばを進むため、単純に景色の良さを楽しんだり、気分転換での渡船場めぐりにもお勧めです。
特に、天保山の渡船場はUSJのある桜島と天保山を便利に結ぶ交通機関として、もう少し認知されてもよいのになと思います。実は大阪駅から桜島まではJRの運賃は180円と安く、地下鉄で大阪(梅田)大阪港を利用する280円より安いのも驚きです。しかも渡船は無料で利用出来るので、是非利用して見て下さい。